全身反応測定器
GENERAL REACTION MEASUREMENT
 

森下功啓製作所 ONLINE


本ページは、私が高専の4年生のときに測定評価研究会で作った全身反応測定器について説明するホームページです。


八代高専式 全身反応測定器の概要

八代高専 測定評価研究会ではスポーツマンや高齢者の体力測定とその評価を行っています。測定評価研究会では以前より自前で製作した測定器を使用して各種の計測を行って来ました。 全身反応測定についても自前で作った測定器を使用しています。このページで紹介するのは2005年の八代高専紀要(資料pp.81-84)に掲載されたものです。 よければそちらのほうもご覧になってください。CiNiiの論文データベースからダウンロードできます。

全身反応測定器とは、様々なな測定項目の内の全身反応時間を計測する測定器です。 市販の測定器では、80万円50万円(値下がりしていますね…)近い値段がするなど高価で、詳しい解析ができないという欠点があります。

測定評価研究会で製作した測定機器はキーエンスNR-500とノートパソコンを用いたシステムで、小型化と低価格化を行えました。 かかった費用は全部合わせても25万円位です。
開発した全身反応測定器の概要を以下に示します。

全身反応測定器の概要

図1 全身反応測定器の概要

測定機器は図1の様に構成されています。測定台の裏面にひずみゲージを張り付け、台にかかる荷重を金属板ののび(ひずみ)で測定しています。 ひずみの計測器には、キーエンス製のNR-500と、ひずみ計測ユニットNR-ST04を組み合わせて使用します。 NR-500は、発光スイッチによってトリガーが入るように配線しておくと、スイッチが押されると同時に荷重の変化を記録し始めます。 計測データはUSBケーブルを通じてパソコンに送信されます。 送信されたデータは、NR-500に付属のソフト (WAVE LOGGER) によって受信され、グラフ表示とExcelへのデータ転送が行われます。 そのデータをプログラム(VBA)を用いて計算することで全身反応時間が計測できるのです。図2に、2人同時に計測している様子を示します。

実際の測定風景

図2 実際の測定風景


このシステムの利点

このシステムの利点は、観測データが生で観える事と制御プログラムをいじれるので痒い所に手が届くというところです。 市販品の場合は計測データをどのように処理しているのか全くの不明ですのでその分安心感はあります。 しかも、処理しているのはVBAと云うVBの親戚みたいな言語ですので理解しやすく、習得も簡単です。


改良の必要な点

このシステムで熊本県の国体選手を始め環不知火圏の自治体における高齢者の体力測定を行ってきましたが、運用上改良の必要性を感じた点がいくつかありました。
 一つは、ねじで組み立てていた測定台についてですが、これは体重を支える上面は溶接する事。 また、下面の保護版はアルミで良いので上面部の変形抵抗を生じさせない程度のアソビを設ける事が挙げられます。 これは測定者が飛ぶたびにネジが微妙に緩んでしまうために起こる測定値のドリフトにより、数人に一人の割合で測定台のイニシャライズをする必要が発生するためです。

もう一つは、測定台の上には断熱効果のある材質を乗せる事です。 これは被検者の体温が測定台に伝わるために起こる材質の変位でドリフトが生じるためです。


計測手順

測定は以下のようにして行います。

  1. 被測定者は膝を曲げた状態で測定台に立ち、発光器を注目する。
  2. スイッチが押され、発光と同時に出来るだけ素早く飛び上がる。この時、足は台より離れなくてはならない。足が離れたかどうかは、WAVE LOGGERに表示される荷重の変化グラフを見ると一発で分かります。
  3. 計測を5回行い、最高と最低値を切り捨てた3回の平均値を記録とする。
ただし、次の点に注意してください。
全身反応時間
図3 全身反応時間の区分

測定方法 ソフトウェアの使い方

ここでは、具体的な計測方法としてソフトウェアの使用方法について説明していきます。 全身反応時間の測定に使用しているExcelファイルは以下でダウンロードできます。 このファイルはVBAによるプログラムを含みます。 当方でもウイルスチェックは行っておりますが、念のためウィルスチェックを行った後に実行するようにしてください。 一応断っておきますが、このファイルで生じた損害については受け付けません。自己責任でお願いします。

プログラムパッケージのダウンロード
リリース日 プログラムパッケージ 更新内容
2010/4/14 calculation_software_ver2007_12_13.xls 演算アルゴリズムを高速化しています。
某年某月 calculation_software_ver2006_12_22.xls 初公開
全身反応測定用のエクセルブック
図4 全身反応時間を計算するエクセルブック
起動した直後の初期画面
計測時のWAVE LOGGAER
図5 計測データ波形が表示されるWAVE LOGGER

WAVE LOGGERの設定

wave loggerの設定1

二人同時に測るので2チャンネルを設定しています。レンジ幅は、実際に接続して調整することをお勧めします。

wave loggerの設定2

転送するデータ量が多くなると動作が遅くなるので1msサンプリングとしましたが、今のパソコンならもっと小さく設定できるかもしれません。 測定評価研究会が作った測定装置では約16~17msのノイズが入っていましたので、移動平均を施して処理していました。 ノイズの周期を考えると500μs以下にしたいところです。

wave loggerの設定3

スイッチでLEDを発光させますが、その信号を使って外部トリガとします。

wave loggerの設定4

最後に確認です。


観測データ例

きれいに飛べている

二人ともきれいに飛んだ例です。

飛べていません

チャンネル1,2の両方の方が飛べていません。足が離れないとこのようにレベルが0まで下がりませんし、下側のカーブが丸くなります。

チャンネル2の方が飛べていません

飛べているように見えますが、ドリフトによって正常な判定ができない可能性が高い例です。

こっちはチャンネル1の方が飛べていません

チャンネル1の方が飛べていません。 この場合、正常に飛べた方のデータのみ処理する必要があります。 この様に片方の方しか飛べていない場合でも測定評価研究会のマクロは対応しています。

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